ありふれた恋を。

「でも今だって心配して待ってくれてんだろ?」

『うん…。だから信じてみる。もう1回旦那さんのこと。それでずっと傍に居る。』


まっすぐな視線にも表情にも、もう迷いはない。


俺が、解放された瞬間だった。



『今まで本当に迷惑ばかりかけてごめん。許してもらえるなんて思ってない。でも応援させてほしい、彼女とのこと。』

「あぁ。瑠未も仕事頑張れよ。」

『うん。ありがとう。』


もう会うことはない。

縛られ続けてきた過去も、傷付けられた記憶も、全部全部脱ぎ捨てて俺は夏波と生きて行く。


小さく手を振って改札口へ消えて行った瑠未の後ろ姿を見送ることなく、俺はその場を立ち去った。


1秒でも早く、夏波に会いたかった。

俺を信じて待ってくれている夏波に。

心からの「ただいま」を伝えたい。


ここから本当に、俺たちの日々が始まるんだ。


これからもずっと、2人でその幸せを分かち合っていきたい。



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