孤独な花と孤高の王子





私が訂正する暇もなく、二人の話は弾んでいく。
その話を上の空で聞きながら、私の脳裏にはあることがひらめいた。





「おとうさんごめんね、篠宮さんのこと黙ってて」


私がそう言うと、二人は同時に私を見つめる。


―――頭の中には鼓動がうるさいくらいに響く。
私は震える手で篠宮さんの腕をとり、義父に精一杯笑ってみせた。



「私、この人とお付き合いしています」




そう告げた瞬間、私は泣きそうになった。





< 32 / 156 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop