孤独な花と孤高の王子





篠宮さんは私の頭を撫でながら、ゆっくりと話し出した。



「さっき、おとうさんすごい嬉しそうだったもんな。…なぁ、そんなんしてないで頭上げろよ」


その声に私がそっと頭を上げると優しく笑う篠宮さんがいた。
作り笑顔なんかじゃないその表情に、私の顔は一気に熱くなる。



「あ、あの………?」


「俺でよかったら、彼氏のフリしてやるよ」




―――こうして私たち二人の秘密の関係が始まった。


…まだ彼の正体を知らない私は、義父の前で嘘を真実にできる現実にほっとするばかりだった。





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