だからキスして。
急に笑いだした阿部くんを見て、私は余計ワケ分かんなくなった。

「なっ、何!?私ヘンな事言った?!」

「その'付き合って'じゃなくて'俺の彼女になって'って意味だったんだけど!」

「あっ…えっ…えぇーか、彼女って…」

「嫌だって言うなら言いふらしちゃおっかなー」

「待って待って!付き合う!付き合えばいいんでしょ!?」

阿部くんは私を見てニヤリと笑った。

「なっ、何よ?!」

「センセ、Mだなぁ」

「…」

全否定できないのが何か悔しい。

何か素直に好きだと言えなかったし、成り行きで付き合う事になったみたいで納得できないのに

…なんか嬉しかったりもしてる。

私って変態なのかな~

あっ、これがMって事か。

ああ…妙に納得。


「阿部くんは…私の事が好きなわけ?」

「本当は、今日の放課後センセが美術室に居るって知ってたから

チャンスだと思って隠れてた…って言ったら信じる?」

「嘘…でしょ?」

「さて、どうでしょう?」

阿部くんはカーテンの中へ入って、私を抱き寄せた。

「まり奈、石膏じゃなくて俺とキスしよ?」


返事をする間もなく
阿部くんと唇を重ねた。


「…………意地悪」





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