HOPE
Episode5 潰えた希望
沙耶子が病院に運ばれた。
その知らせを聞いたのは、沙耶子を探し回った後に家の留守電を聞いた時の事だった。
幸いにも外傷は掠り傷程度だったそうだ。
どうして、こうなったのだろう。
沙耶子には不幸な事など起こさせないと、あの時誓ったのに。
どうして?
誰がこんな事を?
彼女の身に起きた出来事、それは僕の気持ちを不安から、誰かへの憎しみへ変えていた。
翌日、沙耶子が目を覚ました。
大学へ休みの電話を入れて、朝一番で病院へ行った。
受付を済ませて彼女の病室へ行く。
前にも同じ様な事があった。
確か、あの時の沙耶子は記憶を失っていた。
不安が胸を過ぎる。
あんな事が二度もあってたまるか。
きっと大丈夫。
きっと大丈夫。
そう自分に言い聞かせて、病室のドアを開けた。
病室内は、朝方の眩しい光に照らされていた。
その隅のベットに沙耶子がいる。
「沙耶子……」
彼女はゆっくりと、こちらへ視線を向ける。
「分かるか? 沙耶子」
うん、と軽く頷いた。
「分かるよ。隼人君」
隼人君。
それは、かつての僕に対しての呼び名だった。
「沙耶子、記憶が戻ったのか?」
再び軽く頷く。
「沙耶子……」
そう言って、僕は沙耶子に手を伸ばした。
沙耶子も僕に手を伸ばす。
嬉しさを通り越して、感動が僕の体を動かしていた。
しかし、互いの手が触れ合った瞬間、沙耶子はすばやく手を離し、僕から後ずさる。
「どうしたんだ?」
声を掛けた瞬間、悲鳴を上げる。
「ぁぁぁああああああ!」
「おい! 沙耶子。どうしたんだ?」
呼び掛けてみても悲鳴は止まらない。
その知らせを聞いたのは、沙耶子を探し回った後に家の留守電を聞いた時の事だった。
幸いにも外傷は掠り傷程度だったそうだ。
どうして、こうなったのだろう。
沙耶子には不幸な事など起こさせないと、あの時誓ったのに。
どうして?
誰がこんな事を?
彼女の身に起きた出来事、それは僕の気持ちを不安から、誰かへの憎しみへ変えていた。
翌日、沙耶子が目を覚ました。
大学へ休みの電話を入れて、朝一番で病院へ行った。
受付を済ませて彼女の病室へ行く。
前にも同じ様な事があった。
確か、あの時の沙耶子は記憶を失っていた。
不安が胸を過ぎる。
あんな事が二度もあってたまるか。
きっと大丈夫。
きっと大丈夫。
そう自分に言い聞かせて、病室のドアを開けた。
病室内は、朝方の眩しい光に照らされていた。
その隅のベットに沙耶子がいる。
「沙耶子……」
彼女はゆっくりと、こちらへ視線を向ける。
「分かるか? 沙耶子」
うん、と軽く頷いた。
「分かるよ。隼人君」
隼人君。
それは、かつての僕に対しての呼び名だった。
「沙耶子、記憶が戻ったのか?」
再び軽く頷く。
「沙耶子……」
そう言って、僕は沙耶子に手を伸ばした。
沙耶子も僕に手を伸ばす。
嬉しさを通り越して、感動が僕の体を動かしていた。
しかし、互いの手が触れ合った瞬間、沙耶子はすばやく手を離し、僕から後ずさる。
「どうしたんだ?」
声を掛けた瞬間、悲鳴を上げる。
「ぁぁぁああああああ!」
「おい! 沙耶子。どうしたんだ?」
呼び掛けてみても悲鳴は止まらない。