HOPE
Episode7 宮村想太
目覚めると、病室の真っ白な天井が見えた。
朝の眩しい光が僕を照らす。
こんな朝を、どれだけ繰り返したのだろうか。
看護師の話では、明日から右肩のリハビリが始まるらしい。
周りの人の口振りからすると、あの日の夜から一週間も経っていない様だ。
あの日の夜、僕と平野さんが襲われた日の翌日、彼女の兄、平野隼人と名乗る青年が僕を訪ねて来た。
彼は言ってくれた。
『ありがとう。沙耶子を守ってくれて』
嬉しくなんてかった。
逆に自分が情けなかった。
僕は平野さんを守る事なんて、出来やしなかったのだから。
あの夜以来、平野さんには会っていない。
気が狂ってしまっていて、面会が出来ないと聞いている。
看護師が持って来た昼食を済ませた昼過ぎ、吹奏楽部の友人、岸堵真由が見舞いに来た。
彼女は重い足取りで、ベットの横の椅子に腰掛ける。
「想太……腕の調子は……」
僕は真由から目を反らし、無感情に返答する。
「順調さ。明日にはリハビリも始まるし」
「そうなんだ」
彼女の表情は安堵に満ちていた。
その表情が、どうしてか憎たらしい。
「どうして、そんなに安心しているんだ?」
「……当たり前の事だよ。私は……想太が無事で本当に良かったと思ってるから」
「……嘘だね」
僕の一言で、病室にポツリと沈黙が落ちた。
真由はスカートの裾を強く握る。
「どうして、そんな事を言うの?」
「本当は、分かっているんだ。君は、僕にクラリネットをやらせたがっている。今の僕は、こんな状態だ。看護師の話によると、平野さんも気が狂ってしまっているそうだ。なら、君はこの機を逃す事はないんじゃないのかな?」
「何を言っているの……?」
彼女の声が、段々と震えていくのが分かった。
それでも、僕は言葉を続けた。
「つまり君は僕に、こう言いに来たんだ。『もう、放課後にヴァイオリンを弾く意味なんてない。吹奏楽部へ戻ろう』って」
彼女の声が震えていく。
「どうして……どうして、そんな事を言うの!?」
朝の眩しい光が僕を照らす。
こんな朝を、どれだけ繰り返したのだろうか。
看護師の話では、明日から右肩のリハビリが始まるらしい。
周りの人の口振りからすると、あの日の夜から一週間も経っていない様だ。
あの日の夜、僕と平野さんが襲われた日の翌日、彼女の兄、平野隼人と名乗る青年が僕を訪ねて来た。
彼は言ってくれた。
『ありがとう。沙耶子を守ってくれて』
嬉しくなんてかった。
逆に自分が情けなかった。
僕は平野さんを守る事なんて、出来やしなかったのだから。
あの夜以来、平野さんには会っていない。
気が狂ってしまっていて、面会が出来ないと聞いている。
看護師が持って来た昼食を済ませた昼過ぎ、吹奏楽部の友人、岸堵真由が見舞いに来た。
彼女は重い足取りで、ベットの横の椅子に腰掛ける。
「想太……腕の調子は……」
僕は真由から目を反らし、無感情に返答する。
「順調さ。明日にはリハビリも始まるし」
「そうなんだ」
彼女の表情は安堵に満ちていた。
その表情が、どうしてか憎たらしい。
「どうして、そんなに安心しているんだ?」
「……当たり前の事だよ。私は……想太が無事で本当に良かったと思ってるから」
「……嘘だね」
僕の一言で、病室にポツリと沈黙が落ちた。
真由はスカートの裾を強く握る。
「どうして、そんな事を言うの?」
「本当は、分かっているんだ。君は、僕にクラリネットをやらせたがっている。今の僕は、こんな状態だ。看護師の話によると、平野さんも気が狂ってしまっているそうだ。なら、君はこの機を逃す事はないんじゃないのかな?」
「何を言っているの……?」
彼女の声が、段々と震えていくのが分かった。
それでも、僕は言葉を続けた。
「つまり君は僕に、こう言いに来たんだ。『もう、放課後にヴァイオリンを弾く意味なんてない。吹奏楽部へ戻ろう』って」
彼女の声が震えていく。
「どうして……どうして、そんな事を言うの!?」