* 王子と契約彼女 *




―――‥



「ハァハァ‥」



学校に着いて、とりあえず優くんの居そうなところを探す。

体育館、職員室、図書室、教室‥
どこにも優くんはいない。



「どこだろう‥?」



もう帰っちゃったのかな。



「あ‥」



諦めようとしたとき、ふとまだ探していない場所を思い出した。



「屋上‥?」



屋上に着くと、案の定優くんは一人、屋上から空を眺めていた。



「優くんっ」

「?‥なな。」



優くんは私に呼ばれ、振り返る。

私は息を切らしながら言った。



「あのね、私‥っ」

「ね、なな。」



私が喋り出そうとした所を、優くんが割り込んだ。



「我が儘言ってい?花火大会、ななと行きたい」

「へ?」



何を言い出すかと思えば。
私がさっき嘘で真由美とちかと行くと断ったのを忘れ、即答した。



「いいよ?」

「いいの?!」



優くんは顔をパァっと明るくした。
その瞬間、私がさっき嘘をついた事を思い出した。



「あ‥うん。真由美もちかも男の子と行くんだってぇ‥ハハ‥」



本当に真由美は北山くんと、ちかも彼氏と行くからと断られていた。



「そうなんだ♪やった♪」



優くんはすごくうれしそうにしてる。



「あ、俺行くね♪じゃ、花火大会でね♪♪」

「え、ちょ‥」



優くんは私の話を聞く前に帰ってしまった。




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