僕のスケープゴート
「娘…。名は?」



山神…。少年は訪ねて来た。





「ナミと申します。」




山神の少年はまぶたがかたく閉じられている。




少年のような青年のような…。美しい顔つき。
歳は…。わからない。




「私はマナト…。」



「山神様…。」




「マナトでよい。」



「マナト様。」
祠に近づく。




「ナミ帰りなさい。」





ここにあるのは孤独だけ。
人の声を聞いたのは何年ぶりだろうか?




苦しみが襲ってくる。娘の前ではいけない…。あの姿を…。苦しい…。




祠の奥に逃げた。
息が出来ない…。
さっき壁に打ち付けた場所から血が流れている。





ナミは私の手を握り…。その手はとても小さかった。必死に私は…。こらえた。






ふと気がつくと祠の中で横になっていた。




「夢か…。」






起き上がると…。娘が横で小さくなって寝ている。
「!」
手が離れない。






起きたら戻らせよう。




いつの間にか再び目を閉じた…。






不思議とその夜はのたうち回ることはなかった。
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