Last Valentine
好きだって言って欲しかったなら何度も何度も言ってやればよかった。

言葉にしたら想いに終わりがある?

違う。

そんなの俺の勝手な解釈だ。

むしろ言葉にすることを恐れてちゃダメだったんだ。

なんでこの気持ちは何があっても揺らぐことがないと信じなかった?

少なくともナギサは信じていたじゃないか。

俺は最低だ。

臆病者だ。


思いあたる節はある。

あのバイクに乗せた日のこと。

2学期以降はよく学校を休んでいたこと。

電話で珍しく俺のことを聞いたあの日のこと。

親父の話。

あぁそうだ。

俺は気付くべきだった。

自分の忙しさのせいにしてあいつと向き合ってなかった。


ナギサが好きです。

あの無邪気に笑う顔をまた見たい。

俺の薄いリアクションにむくれた表情をまた見たい。

ナギサの隣で寝顔を見ながらまた朝を迎えたい。

頼むよ神様。

この国にはたくさん神様がいるんだろ?

なんとかしてくれよ。

俺はナギサと一緒にまたあのコンビニで他愛ない時間を過ごしたいんだ。

これが最期のバレンタインだなんてせつなすぎる。

粉雪が散らつくその日

俺は久しぶりに泣いた。
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