超現象管理人 パイロキネシス編
シャワーを浴びながら真は佳伊の言葉を思い出していた。

「死ぬって……」
真が警戒すると佳伊は焦って言った。
「いや、本当にじゃないよ。戸籍上」

真には佳伊のいわんとすることがまったく分らない。

「つまり、戸籍上は死んだことになるんだ。世間の影で生きてもらいたいんだ」

「影?」
「そう。」にっこりと佳伊が微笑んだ。
だが言ってることはめちゃくちゃだ。

そこで母が戸をトントンと叩く。
「真ちゃん、長風呂よ〜」
「今出る」

シャワーを止め、脱衣所に出た。

食卓に行くと豪華な食事が並んでた。
施設の4人の子供も嬉しそうだ。
「何これ、誰の誕生日?」
不思議そうに言う真に母が言った。
「真ちゃんったらわたしが知らないとでも?」
と嬉しそうに言う。
佳伊との会話なのかとドキリとするがすぐにホッとする。
「学力テスト、校内で1番だったんでしょ?言ってくれないと〜」
「ああ……ごめん」

「いただきます!」
子供達は嬉しそうにほおばって食べている。真は唐揚げを一個食べてボーッとしている。
「あら、真ちゃんの大好きな唐揚げ、今日はまずいかしら?」
との母の言葉に
「そんなことないよ」
と慌てて食べ始めた。

食事を終えて自分の部屋に入って、どっかりとベッドに腰を降ろした。


「俺たちの組織に入らないか?政府公認だが世間には公になってない。いや、しちゃいけない組織なんだ。超常現象を管理している。全員超能力者だ。だから君ももっと楽に生きれると思うよ」
「全員超能力者って……そんなにいるのか?」
「いるいる、ごろごろと。でも皆隠してる。君みたいにね。ただ、それを悪事に使うのがいてね。それを管理するんだ。どうかな?」
「死ぬっていうのは?」
「過去があると色々と面倒でね。わかる?」
「まぁ…」
ようするに、身内に害がおよぶ可能性があるってことか。
「そうそう、その可能性がね、怖いんだよね。」
真はハッとする。
「人の考え読むなよ!」
「あ、ごめんごめん」
佳伊は笑った。
< 3 / 16 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop