超現象管理人 パイロキネシス編

真はもう動かなくなった母を見た。
いつも優しかった。自分を１人の人間として見てくれていた。

することはひとつだ。

「…分った。ただし条件がある」

「何？」

「天使をぶっつぶす！」

佳伊はその顔をみて言った。
「真君となら出来るかもしれない」
そう言って真を見つめた。

真は母や子供達のことを１人１人見ながら、動かない身体を見ながら自分がこれからの運命を受け入れる覚悟をした。

その時

「羅我」

佳伊のテレパシーが頭に響いた。佳伊の方を見ると佳伊は空中に話しかけていた。
「…そうだ。事後処理頼む」

そういって真を見た。
「荷物まとめる？」
「…ああ、待っててくれるか？」
「勿論」
佳伊は微笑んだ。

部屋に入ると洋服と母達の写真の貼ってあるアルバムを大事にカバンに入れた。
「母さん…ごめんな。巻き込んで、ごめん」
そう言いながら真は涙を流した。

真の部屋から聞こえる嗚咽に佳伊は悲しそうな顔をした。
「まだ甘いな。俺。ちゃんとしろ。」
そう言って自分の頬をパチンと叩いた。

泣きはらした目で部屋から真が出てきた。
「……大丈夫？」
佳伊が聞くと
「大丈夫」
と怒りにも似た瞳で佳伊を見つめた。
「…じゃあ行こうか」
真の背中に手をあてて玄関へと促す。
家を出る時、真は１度だけ部屋を見回した。その光景を忘れない為に。
そして、佳伊と共に家をあとにした。