【完】ラブ☆パワー全開



「って……綾さん? これ……」



仁の指差す方向は、
服の裾をギュッて掴んだまま離さないあたしの手。



だって、仁が……
悪いんだよ?



せっかく我慢したのに、
そんな不意打ちのキス。

もっと一緒に居たくなっちゃうじゃない。


でも、口で言えないんだもん。



「んな可愛いことして
家誘ってたら襲われんで?」



え?

思わず驚いて顔をあげてしまう。

やっぱり悪戯な笑顔は変わらないままで。



でも……仁なら。
それでも、いいんだけどな?



「て……おいっ!
何か否定してや?」



今度は、赤くなった仁。

あは。自分で言ったくせに。



「……だって、まだ離れたくないかなー?
なんて言ってみたり?」



付き合ってこんな大胆な事、
言うの初めてかも。



仁、引くかな。
引いちゃう?

『冗談だよ』

って笑わなきゃ。


でも本当は、一緒に居たいんだけどな?



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