【完】ラブ☆パワー全開



「仁!」



何でここに居るの?

バイトは?

文化祭の準備は?


聞きたい事がいっぱいあるけど、
会えたことが素直に嬉しくて、
上擦った声で名前を呼んだ。



ちょっと息切れしながらも、
ベンチに座ってる仁の前に到着。


それなのに。

機嫌、悪い?


いつもなら

『綾さん』

って優しい笑顔が返ってくるのに。


あたしを見上げると、
無表情の仁がそこにいて。



「バ、バイトどうしたの?」



声が震えてしまう。

そんな、あたしから視線を横にズラし



「綾さん、あれ誰?」



そう指差す方向。

振り返ると、手を振ってる千恵が見えた。


小さく手を振りかえしたら、仁に手首を掴まれてしまった。



「え? 千恵だよ?」

「その横の奴」



言われて千恵の横を見ると、
山北さんがこっちを見ていた。



「山北さん? 会社の人だよ」

「ふ~ん……さっき抱きついてへんかった?」



あ、見られてた?

鈍臭く躓いた姿を。



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