ゆびきり
八章 亀裂
パーティーも終わった頃、私と詠士は一緒にマンションへ歩いて帰っていた。







どんどん、マンションに近づいて行くと、マンションの目の前に見慣れた車が停まっていた。








「あの車…」







私が呟くと、詠士も車を見つけて、少し険しい表情になった。







「なんで、あいつ…」








私たちが、車に近づくと、泣きながら梨由が車から降りてきた。







そして、梨由は詠士に抱きついた。







「えっ…」







私はその光景を見て、唖然として、体の力が抜けたように立ちすくんだ。







詠士も、唖然としながらも、梨由の体を支える。








「何があった…?」








詠士は次第に、梨由を支える力は強くなり、真剣な表情で梨由を抱きしめた。








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