エリートな彼は溺愛を隠さない
そんな事を考えながらも、手を休める事なく、また伝票を一枚めくるとさらに早く指を動かす。


「ちょっと、夏哉。さっきから怖いよ、休憩しなよ。コーヒーでも買って来ようか」

俺の静かな気迫が不気味にヤバい雰囲気なのか、向かいのデスクから同期の由美子がしかめっ面を覗かせて声をかけてくる。

「そんな時間はないよ。
じゃあ、お前が代わりにやれよ」

由美子に目を合わせずにそう答えると、彼女は
「無理。そんなの出来ないわよ。私がやっても終わらないわ。何よ、心配してやってんのに」
と言って顔を引っ込めた。

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