明治屋クラムジー
話はとんとん拍子に決まっていくようだった。八重にしてみれば、結婚という行為自体にはとても抵抗があったが、自分の旦那になるのが従兄弟の弥一というなら話は別らしかった。
和気藹藹と話を進める母親達は、当事者である八重と弥一とを放ったらかして、盛り上がっていた。
そんな二人を見て、八重は弥一と微笑んでいた。
「ああ、驚いた。……まさかお兄様が私をお嫁さんにするだなんて」
そう言う八重を見て、弥一はおかしそうに笑った。それから言うのだ。
「僕はもう八重の旦那様だよ。お兄様じゃあ、変だ」
「あ、そっか」
「弥一って、呼べるかい?」
意地悪そうにする弥一に、八重は顔を赤くした。弥一が、再び恋愛の対象として八重の中に存在することになるのを、実感したからだ。
「そんな、お兄様は年も上だし……。簡単には呼べませんよ」
「そうかい?じゃあ、ゆっくりとでいいさ」
八重は、嬉しそうに微笑んだ。