Strawberry[更新停止中]
ふふっと顔を見合わせて微笑む。
「帰るか!母さん待ちくたびれてるよ」
「"コウちゃん侑ちゃんお母さん寂しかったんだから!"?」
私がいつかのお母さんの台詞をまねる。
「そうそう。」
浩太はククッといたずらっぽく笑って私の手を取り歩き出す。
手をつないで歩くなんて小さい頃以来で少しくすぐったい。
ひんやりと肌寒い秋の夜の空気に曝されていた体も、浩太のくれるぬくもりであたたかくなる。
きっと、たくさん浩太を傷つけた。
けれど、やっぱり一人になんてなれなくて。
すごくすごく浩太が大切で。
自分の半身のようにずっと一緒だった彼の隣を離れることなんてできない。
卑怯で、きたない、私のこころ。
だけど、ねぇ、浩太。
また、一緒にいていい?
浩太の隣にいてもいい?
ことばにしなくても浩太の答えはきっとわかってるから。ことばで確かめるのは卑怯かもしれないから。
この胸を刺す痛みは浩太の痛みには到底かなうものではないはずだから。
ただきゅっと握る手を少し強めた。
おそるおそるちらりと浩太を見ると、小さく笑って握り返してくれる。
顔を見合わせてまた笑う。
「ずっと、一緒ね――?」
浩太の笑顔に安心して思わず声に出してしまい、言った瞬間に後悔がよぎるが、
「ん、ずっといっしょな」
微笑んで返してくれた。
また、戻れるよね?
いつもみたいな毎日が。
ずっとずっと一緒に過ごせる何気ない毎日が。
このとき、浩太のぬくもりに安心しきった私はライトのついていない車が急速に近づいてくることに気付くことはなくて、
「侑っっ!!!」
いきなり強い力で突き飛ばされアスファルトに叩きつけられると同時にドンッというひどく鈍い音がぐらつく頭の隅に届いた気がした。