砂漠に堕ちた天使 番外編
宴の会場で会った団長はセリナから話を聞き、青ざめた。



「本当に踊れるのかね?」



頭に手を置いた団長は莉世の方を見て聞く。



「はい 踊りは問題ありません」



「そうか……ではやってもらうしかないだろう ご機嫌をそこねないようにがんばってもらおう」



団長は覚悟を決めたように言うと、宴を取り仕切る大臣の所へ行った。



******




時間に厳しい王様なのか、招待された男たちは早々に現れ、席が埋まっていく。



席が埋まるたびに、美しい衣装に包まれた女たちが隣に座る。



どこも男たちの宴って一緒なのね。



時々、お兄様も宴を開くけれど……。



ラシッドに女性が寄り添っているところを想像して嫌な気分になる。



昔は女遊びがひどかったって聞いたけれど、今は全くないと聞いている。



みんなが口裏を合わせているのなら、今度お兄様に会ったら許さないんだから。



……会えれば、の話だけど……。



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