砂漠に堕ちた天使 番外編
「一座の踊り姫はわたしではないのです 急病で今は休んでいますが、彼女がこの一座の最高の踊り姫なんです ですから、わたしと結婚するなんて早まったことはなさらないでください」



相手の気に障る様な言い方をしたらおしまいだ。



莉世は慎重に言葉を選んでハサート王子に伝えた。



「早まるなどそんなことは思ってはいません 貴方は素敵な方だ その方が一座の踊り姫でもわたしは貴方が良いのです 急病になって宴に出られなかったのも運命 貴方がわたしに見初められるのも運命だったのです」



莉世の手を両手で握りハサート王子は熱く語る。



「最高の贅沢をさせてあげますよ リセ」



王子は莉世の手を持ち上げると、唇をあてた。



「やめて!」と叫び、手を引きたかった。



しかしそれも出来ず、莉世は我慢するしかなかった。



宴の間中、どうすれば宮殿から出られるか、そしてラシッドと連絡が取れるかそればかり考えていた。



早く戻りたい。



莉世の思いに反して宴は長々と、真夜中まで続けられた。



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