砂漠に堕ちた天使 番外編
「王と、ハサートは必死に探していた」



ハサートと聞いて、ラシッドが見ているところでハサート王子に触れられたことを思いだした。



その事について、莉世はラシッドを怒っていた。



わたしが退室したいと言った時に引き留めたお兄様に。



「わたし、怒っているんです!」



「唐突に何を言うんだ?」



「だって、宴で退室したいと言ったのに、お兄様は引き留めました」



「あぁ……そのことか……」



「ハサート王子に触れられるのが我慢ならなかったのに……」



莉世の頬が膨らんでいく。



「お前を部屋に戻すわけにはいかなかったんだ お前の命の恩人たちを逃がす為に」



「え……」



「一度にお前と娘たちを逃がすのは無理だ 警備も薄手の宴中ならば娘たちを楽に脱出させられる 王とハサートがお前に夢中の時にな」



「……」



「慎重にならなければならなかったんだ 分かってくれるな?」



ラシッドの手が莉世の髪から頬を滑り、顎にかかる。


< 77 / 85 >

この作品をシェア

pagetop