龍とわたしと裏庭で③【黒魔術編】

うちに入る前に航太の家に挨拶に寄った。


お隣りのおばさんに圭吾さんが

「三田の叔父からこの子の後見人を任されています」

って名乗った。


そうかぁ

対外的にはそう言うんだ

むこうにいたら身内ばっかりだから、『従妹の志鶴』で全部済んじゃうよね


なっちゃんは、まだ塾から帰ってなくて会えなかった。

残念


うちの鍵を開けようとしたら、圭吾さんがポケットからペンライトを取り出した。


「それ、どうするの?」


「電気のブレーカー落としてるんじゃないの?」


そうだった


圭吾さんはライトを照らして中に入ると、ブレーカーを上げた。

わたしだったら絶対に踏み台が必要。


「やっぱり圭吾さんに来てもらってよかった」


「踏み台がいらないから?」


「違うわよ。いやね」


「後ろについて来て。部屋を全部見回るから。異常がなかったらピザを頼んでいいよ」


部屋は親父とわたしが出た時のままだった。


「もうピザ頼んでいい?」


「いいよ。僕の分も選んで注文して。僕はもう少しやることがあるから」
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