龍とわたしと裏庭で③【黒魔術編】

「まったく! ちょっと目を離したらこれだ」

圭吾さんが苛立ったように言う。


「目は離してなかったじゃないか」

悟くんがまぜっ返す。


「じゃあ、ちょっと手を離したら、だ!」


「ちょっと中学の時の同級生と話してただけじゃない」


悟くんの隣に座って小声で言うと、圭吾さんにジロッとにらまれた。


「男の嫉妬は見苦しいぞ、圭吾」

と、悟くん


「分かってる!」


圭吾さんは一番後の通路を気を落ち着けるように歩き回った。


「許してやって」

悟くんがわたしにささやいた。

「彼女を取られるんじゃないかって不安は圭吾のトラウマだから」


「分かってる」

わたしもささやくように言った。


航太のクラスメートの娘が言った通りなんだ。

圭吾さんだって自信があるわけじゃない。


「圭吾さん、歩き回るのはやめてこっちに来て」


圭吾さんは足を止めて空を見上げた。


それから意を決したように戻って来ると、わたしの横に座った。


「ゴメン」


圭吾さんはうつむきながらボソッと言った。

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