静かな海の兄き
静かな海
どれくらい走ったのだろうか…

翔達は

街中を抜け

いつしか

海岸線を走っていた。

そして

堤防沿いにバイクを停めて

2人は

波打ちぎわに向かって歩いていき

並んで腰を下ろした。

すごい静かだ…

波の音しか聞こえない…

翔が感動してると

「な? 静かなとこだろ?
俺のお気に入りのとこなんだ。」

宏史が

極上の笑みで言った。

「うん…」

水平線を見つめながら答えた翔に

「落ち込んだ時とか
どうしようもなくなった時とかに来るとさ
…なんか…
ずっと こうして海見てるだけなのに

いつの間にか 気分がすっきりしてんだよな…」

膝の上に 顎を乗せて

少し 照れくさそうに言う宏史。

「分かる気がする。」

水平線を見つめたまま答える翔。

2人は

しばらくの間

黙って 海を見つめていたのだが…
< 21 / 36 >

この作品をシェア

pagetop