天神学園高等部の奇怪な面々Ⅳ
「よし!よしわかった!こうしよう!」

踏ん張ったまま秋雨が言う。

「先頭歩いてくれたら、お前の兄貴との仲、魔法で取り持ってやるから!」

「えっ…」

突然、月姫の力が抜ける。

「ま…まぁそんなに私に先頭歩いて欲しいなら?…オホン…歩いてあげなくもないけど?」

白々しく咳払いする月姫。

秋雨との取引に応じたと考えて差し支えないらしい。

「その代わりあんた」

月姫の木刀の切っ先が、鋭い殺気を帯びて秋雨の鼻先に突きつけられた。

「取り持つのはいいけど、兄上に妙な魔法使ったら…どうなるか分かってるでしょうね…?」

「そのくらい怖かったら幽霊も逃げ出すよ…」

秋雨がゴクリと息を飲んだ。

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