初恋ディジー


「何、弱気なこと言ってんのよ。大体ねえ、振られるのが怖くて恋なんか出来ないっての!」


そう肩を叩かれる。


「じゃあ麻有は、ずっとこのまま何もしないで榛名くんがいつか好きっていってくれるのを待つの?」


「……そ、それは」


「私はトラから告られた時、凄く後悔した。もっと早く素直になっていたら、トラとの時間が少しでも多く増えていたかもしれないのにって……」


「でも……」


「――言わない方が麻有の為かと思ったけど、でもこの際だから言うわ」


煮え切らない態度で口ごもる私に、さくらちゃんはそう言って私の顔を見た。


「榛名くんの幼なじみの由香里って女のことだけど」


「由香里ちゃんがどうしたの?」


キョトンと首を傾げ、さくらちゃんを見つめ返す。

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