初恋ディジー

希沙ちゃんは一番右端に置いてあるラッピングされたクッキーを手に取った。


「これって一体誰にあげるわけ?」


「えっ!な……何で?」


聞かれるとは思わなかったから、心臓がピクンと跳ねた。


「これだけ何か違くない?」


他のものを見比べ、明らかにひとつだけ量が多いそれをプラプラと揺らす。


「えっと、それは……榛名くんに――…」


「え?榛名くん?麻有……やっぱりアンタ榛名くんのこと?」


「ち……違うよっ……これはそういうんじゃなくて、傘を貸してもらったお礼。借りを作ったままじゃ嫌だから……」


別に好きとかそういう気持ちじゃなくて、ただ自分が出来るお礼をしたかっただけなんだ。

< 41 / 393 >

この作品をシェア

pagetop