各駅停車 ~あなたに会いたくて~【短編】
あの人が下車する駅で、列車は停車する。


彼はいつものように、カバンを持って立ち上がり、開いたドアの方へと歩いていく。


またあしたと、あたしは彼の背中を見送りながら、心の中で唱える。



その時、何かが彼のカバンから外れて、列車の床の上に落ちた。


彼は気が付かずに、列車から降りてしまう。




あたしは急いで、落ちた物を拾い上げた。


それはイルカの飾りのついたキーホルダーだった。


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