遠近愛LOVE
変えられない今、過去…。
私はあの時以来いい夢を見た時がない…。
[またあの夢だ…。]
「星南?大丈夫?」
[あっママだ。]
「おはよう、星南!!」
[あっパパだ…。]
お・は・よ・う
パパが手話で私に伝える。首を縦に振り、返事をする。
これが私の1日の始まりだ。

私のパパは本当のパパではない。
昔の人は思い通りにならないとママにも私にもすぐ暴力を振るう最低な男だった。熱湯・暗い押し入れあの頃は何もかもが怖かった…。それが何年も続くと私の声は少しつづ出なくなっていった。原因はストレスだった。それがきっかけでママはその人と離婚した。

それからは私の声を戻すためにリハビリを始めた。それがきっかけでママはパパと出会った。
今でもリハビリは続けているが前のように毎日ではなくなった。

ママは手話が使えない、だからほとんどパパが手話で私に伝える。

ドアが開いた…。
「お〜、輝春君おはよう」「はい、おはようございます」
[輝春、また迎えに来てくれたんだ]
「星南今日はどうですか?」
「えぇ、今日は調子が良いみたい」
「じゃあ…」
「輝春君、星南をよろしくね」
「はい」
星・南・し・た・く・し・て。
[はぁ〜…今日は学校か…]
私は重い腰を上げた。
朝ごはんを食べて学校へ行く準備をする。
い・っ・て・ら・っ・し・ゃ・い私は笑顔を作りそれに答える。
家を出ると輝春がメモ帳に[またあの夢を見たのか?]
私は静かに頷く…。
[大丈夫か?]
[輝春はいつもそうだ…私の表情だけで何でも分かってしまう]
私はメモ帳を取り[ありがとう、大丈夫だよ]
と書いた。
輝春と会話する時はメモ帳を使う。

輝春とは幼なじみで私が虐待を受けている時から一緒だった。あの人が怖くて、怖くて家に帰りたくないときはいつも輝春の家にいた。
そういう時はいつも
「僕が側にいるから大丈夫だよ」と言って手を握って一緒に寝た。
でも次の日は自分の家に帰らなくては行けなくて…泣きじゃくったのを今でも鮮明に覚えている。

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