Black Sheep Project
とある街外れの丘古びた屋敷にその少女は住んでいました


彼女は生まれつき体が弱くいつも1人



父親はいました、でも母親はいません

使用人もいました、でも友達はいません


少女はいつも1人でしたがけれどさみしいと感じることはありません



外の景色が大好きでしたが病気のせいで外へ出ることは叶いません


部屋の窓から見える小さな風景だけが少女にとっての世界でした

けれどその風景を見るだけで、幸せそうに微笑むのです



ある日少女の部屋に1通の手紙が届きました

窓に挟まれた小さな封筒には差出人の名前もありません



「名前も知らないあなたへ……僕の声はあなたに届いていますか?」

ただ1文が書かれた、とても短い手紙でした


けれどその言葉が嬉しかったのでしょうか、彼女は名前も知らない差出人に返事を書くことにしたのです
< 2 / 10 >

この作品をシェア

pagetop