サグラダ・ファミリア
ゆうこと夕子の日常
「でも、いなくなった俺は、俺じゃない」
シンは困ったようにして、
もう一人の私を見た。
「どういうこと?」
一歩踏み出し、敵意の篭った声で、
私はシンに詰め寄った。
もう一人の私が、頷き、
シンはやっと、
ここに居るほうの私を見た。
やめて。
睦ましい様子を、見せ付けないで。
今、目と目で、何を伝え合ったの?
相談しないで。
ここに居る私を、疎外しないで。
私はどうして、
ここに居るの。
私と、その私は、何が違うの???
「いなくなった俺は、
俺の生霊」
「・・・」
「それで、君は、
このコの・・・、生霊」
『気づいてなかったのか?』
狐の声が、
頭に響いたが、
無視。
『おい、無視すんな』