王子様と秘密ごと





「え…!あ、え、はいいいいい…っ!」

もちろん一度に自分の周りにこんなに人が集まったことはない。

裏返った声に恥ずかしいとか言っている場合ではない。




この状況を打破する方法を…!



「ねえどういうこと…!お金?お金なの?!」


「冗談よね!罰ゲーム?」


「いつからっ、いつからなのっ!」


飛び出る罵声。

責任とってください波岡さんん…!と叫びたい。




「い、や。あの…」


「おいって…。やめろよ。
 俺が頼んだんだ。…初心に」


そこで光臨した魔王(波岡くん)。

私がどうにか言い訳しようとしたときようやく現れた男。


いるだけで絵になる波岡くんが女子の集団を掻き分けて私を見ながらこっちへやって来る。



くるな…!と心で叫ぶ。

ヤツが何かを言うたび話がややこしくなる。


だけどやっぱり私の叫びは心の中でとどまる。ああもう誰か…!



「俺が惚れたの」





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