私と彼の歩く道


“ありがとう”って、言わないといけないのに…。


でも、クラスメイトの視線が気になって、その言葉が出ない。


「香織さ…」


「ねえ、ごめんけど、私を下の名前で、呼ばないでくれる?」


郁斗の言葉を遮る様に、私は冷たく言い放った。

「私も、呼ばないから」



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