air





「ねえ、もしかしてあれって児玉くん……?」

「うん、そうだよっ」




あたしの指差した方を見て、元気よく答えたちな。

"あれ?知らなかった?"なんて言う沙織にあたしは静かに頷く。



児玉くんがバスケ部。

まさか本当にバスケ部だったなんて。


嬉しさよりも驚きの方が強くて。




「背高いし上手そうだよね!」




ちなと沙織で盛り上がっていたけど、あたしにはそんな話に入る余裕なんてなかった。



同じクラス。

靴箱が隣。

席が斜め後ろ。

選択授業が一緒で更に隣。

……そして同じバスケ部。


誰か仕組んだんじゃない?って思うほどにあたしと児玉くんは全て一緒。


偶然が重なりすぎていて、必然的に決められていたことの様にも思える。




偶然の一致。


それがあたしにとって、どれだけ嬉しかったことなのか、キミは知らないよね。




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