air





音も無く静かに入ってきた風が、私の髪を撫でた。


前の席では、女の子2人が自分の彼氏の惚気話を興奮した声で話している。

後ろの席では、男の子何人かで女子高校生のスカート丈について討論していて、横に立っている人はイヤホンから音が漏れるほど大きな音で音楽を聞いていた。



この騒がしいバスの中から、少しでも早く降りたいと願う私。



大学に入学してから1週間。


夢に見てた大学生活は、案外普通だった。


通学時間が長くなったこと、自分が選択する授業に合わせて教室へ行って受講すること、高校と違うことはたくさんあるけれど、仲のいい友達もそれなりにできて、入学から1週間も経つと少し慣れた。


期待していたほどキラキラな生活ではなくて、同じような日々が過ぎていく。




 
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