Rose of blood *short story*
『すまない、嫌な思いをさせてしまったね』



俺の胸に頭を付け、頭を左右に振るローズ。


泣いているせいで上手く喋れないようだ。



『だけど、俺も嫌だったよ。酒を飲んで頬を赤く染めたローズが知らない男と話しをしていて』

「…秋山さんの息子さんで昔からよく妹みたいに可愛がってくれてたの………」

『だが相手はローズに気があるようだ』

「それはッッ私も…知らなかったの」

『我が妻は本当に鈍感で困ったものだ』



遠慮がちに背中に手を回してきたローズに笑ってしまった。


俺はローズを抱き上げベッドへ下ろした。



「シエル?」

『いつも俺ばかりがヤキモチを妬いていると思ってた。でも、ローズも同じ気持ちでいてくれたんだね』

「私の方がヤキモチ妬いてるよッッ!!」

『でもいつも何も言わないじゃないか』

「子供だと思われたくなかったし…シエルに鬱陶しく思われたくなかったの」

『馬鹿だな、何があってもローズの事を鬱陶しいなんて思うことはないよ。もう、自分の気持ちを無理に抑えなくていい。ローズの全てを愛しているから』



ベッドの中で何度も体を重ね、幸せと喜びを2人で味わった。


ローズには悪いが、愛するものに妬いてもらのも悪くはない。


むしろ嬉しいものだなと思った。


幸せそうにぐっすり眠ってるローズを抱きしめ、俺も幸せな気持ちのまま眠りについた。





fin.



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