Rose of blood *short story*
「指輪を見て勘違いしちゃった…ごめんなさい」

『いえ、恋人との指輪ですからいつか結婚して妻になります』



いつか…と言った時の先生はどこか辛そうに見えた。


幸せな話をしているはずなのに…。



「あの…答えにくければ答えなくていいんだけど、彼女と喧嘩でもしてるの?」

『長い付き合いになりますが、まだ1度も喧嘩はしたことがありません』

「そう…」



喧嘩じゃないならきっともっと深刻な事なんだろうと思った。


これ以上は踏み込んじゃダメだよね。



「私で良ければいつでも話聞くから、話したくなったら話してね」

『ローズ様はお優しいですね』

「そんな事ないよ。いつも私ばかり話を聞いてもらってるから」



先生は診察に関係ない話でも親身になって聞いてくれる。


聞くだけじゃなくて、時にはアドバイスもしてくれるから本当に助かっている。


先生はきっと色んな人の話を聞くばっかりで、自分の話をする暇なんてないんじゃないかって思う。






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