欲望チェリ-止まらない心
「………」


そんなあたしに、矢嶌紅はため息をつくといい放った。


「理解不能」


「…………」


「まぁ…お前と聖の問題だし、どーでもいいけど」


矢嶌紅は座った足を組みかえる。


「だけど、頑張るならもうちょい上手くやれよ」


「え…?」


「お前のそういうとこが、見てて苛々する」


「っ……!」





あたしだって…


上手くやれるならやりたいよ。


だけど…


「世の中…紅みたいに…うまく生きれる人間ばかりじゃないんだよ」


上手くやれるなら、やってる。


あたしだって別に好きでツラい思いをしてる訳じゃない。


だけど…


あたしはバカで効率が悪いから


こうやってがむしゃらに頑張ることしか出来なかったんだよ。


止まりかけていた涙が、またポロポロと溢れだす。


「…………」


矢嶌紅はピンクのお弁当をあたしの前に置いた。


お弁当を包む巾着布には埃がついている。


さっき矢嶌紅が拾ってくれてたんだ…



「まあ…食って元気だせ」


「………」


お昼休みもあと少しで終わる…


あたしはティッシュで思い切り鼻をかむと、お弁当箱を開けた。











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