欲望チェリ-止まらない心
真実
【聖 side】

時は一日さかのぼる。











トゥルル…トゥルル…




携帯の向こうで、なり続ける着信音。


「………」


一向に携帯に出ない三咲に、俺は仕方なく携帯を閉じた。






テスト5日前。


部活が休みになるのはテスト3日間からだが


俺は体調を理由に少し早く休みをとった。


久しぶりに三咲と一緒に帰ろうと思ったのにな…。


もうずいぶん、三咲の顔を見ていないから。








言い訳にしかならないけれど


三咲のことを忘れていた訳じゃなかった。


ただ、本当に忙しくて。


剣道部の引き継ぎ、全国模試、その他、高校生サミットや会議など。


どちらかと言えば器用な俺が、珍しく日々に忙殺されていた。


24時間があっという間に過ぎてゆき、時間の感覚が麻痺していく。


3日に一度は三咲に電話やメールを入れるようにしていたけど


それで三咲も元気そうだったから、あまり気にしていなかったんだ。





< 211 / 488 >

この作品をシェア

pagetop