欲望チェリ-止まらない心
聖の想い
「三咲?」






放課後の帰り道


図書館に寄ったので辺りはすっかり暗くなっていた。



「三咲?」


ぼんやり歩くあたしの顔をひー君が覗き込んでくる。


「…え?あ、ごめん!何か話してた?」


「いや…三咲、大丈夫?」


「え……大丈夫って?」


「…………」


ニッコリ笑顔を作るあたしに、ひー君は心配そうな顔をしてる。




ダメだな。

最近あたし、ぼんやりしてる。



もう、あたしったら。


ひー君を不安にさせちゃダメじゃんか。




あたしは気を引き締めて、ひー君に笑顔を見せた。


「そう言えば今日ね、卒業生につける造化を作ったんだよ」


「そうなんだ」


「あとちょっとで本当に卒業式なんだって感じちゃった。なんだか寂しいな―!」


「そうだね」


「まぁ…、でもひー君とは家も近いしいつでも会えるんだけどね♪」


「………」


あたしがへへ、と笑うとひー君も優しく微笑んだ。



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