eye
私は恐る恐るケータイに手を伸ばす。
{美里}
「今日はありがとう」
「高弘に話し聞いてもらって元気になったよ」
今日はありがとう?
今日は私と一緒にいたはず。
私と会う前?
残業…
残業ではなかった?
がたがた。
高弘が出てきた。
でも私は高弘のケータイを持ったまま動けなかった。
やっぱりケータイなんて見るもんじゃない。
[どうしたの?]
[あ、ケータイ鳴った?]
…
高弘はケータイの画面をのぞきこんだ。
[あ、]
私はケータイをテーブルに置いた。
高弘も私も黙ったままだった。
しばらくして話しはじめたのは私のほうだった。
『ごめんね。』
『ケータイ勝手に見て』
『こんな時間にケータイ鳴ったから』
『なにか悪い報せだったら教えなきゃと思って。』
…
『ごめんね。』
『元カノに会ってたのも何か事情があったんでしょ。』
『大丈夫。』
『私気にしないから』
心にもないことを言った。
『高弘?』
[ごめん。]
一言だけだった。
私は本当は心の中で期待していた。
高弘ならいつもみたいに明るくごまかしてくれると思った。
[朱莉ごめん。]
いつになく真剣に謝られる。
{美里}
「今日はありがとう」
「高弘に話し聞いてもらって元気になったよ」
今日はありがとう?
今日は私と一緒にいたはず。
私と会う前?
残業…
残業ではなかった?
がたがた。
高弘が出てきた。
でも私は高弘のケータイを持ったまま動けなかった。
やっぱりケータイなんて見るもんじゃない。
[どうしたの?]
[あ、ケータイ鳴った?]
…
高弘はケータイの画面をのぞきこんだ。
[あ、]
私はケータイをテーブルに置いた。
高弘も私も黙ったままだった。
しばらくして話しはじめたのは私のほうだった。
『ごめんね。』
『ケータイ勝手に見て』
『こんな時間にケータイ鳴ったから』
『なにか悪い報せだったら教えなきゃと思って。』
…
『ごめんね。』
『元カノに会ってたのも何か事情があったんでしょ。』
『大丈夫。』
『私気にしないから』
心にもないことを言った。
『高弘?』
[ごめん。]
一言だけだった。
私は本当は心の中で期待していた。
高弘ならいつもみたいに明るくごまかしてくれると思った。
[朱莉ごめん。]
いつになく真剣に謝られる。