法螺吹きテラー
「そう。全部、嘘よ」
そう言いながら跳び箱から顔を出したのは
変わり者、だけど美人で有名な
3年の神花(かんばな)先輩だった。
耳の下で結われた、
2つの髪の束を跳び箱に挟まれながら、
彼女は跳び箱から外へ出てきた。
それを照らすのは、
ようやく開けられた扉から入る光。
……状況を理解できなくて、
呆然と立つ事しか出来ない俺。
入ってきた先輩は、
俺の手から用具を奪うと、
さっさと仕舞ってしまった。
……本当に、なんなんだ。
「それじゃあ、戻ろうか。
先輩は?鍵閉められますよ」
「私も帰る」
そう言って神花先輩は、
俺たちよりも先に外へ出ていった。
先輩よりも理解できない人を、
俺は初めて見た気がする。