キミへ

「杏菜?」

「ん?」



さっきと違う返事。

あれ、何この子。眠いの? 眠くないの?

てかみょーに、落ち着いてない?



「眠い?」

「ううん?」



不思議そうな顔して俺を見上げる杏菜。

おおぉ……、やべぇな。涙目だし、上目遣いだし…。

…って何考えてんの俺…



「そ? 寝んなら暖かくしとけよ?」

「うん」



……なんかめっちゃ素直じゃねぇ?

可愛いからいいけど…

そう思ったら離すのが惜しくなった。



「…」

「ちょっと行くんじゃないの?」



んー…、ホントは行きたくねーし。

杏菜1人になんてさせたくないし…



「怜衣」

「……ん」



仕方なしに返事をした。

でも、離せって言われないだけいっか…。



「ほら、頑張って行ってきて? 前半もうすぐ終わるから」

「ん、よし」



杏菜に後押しされてやる気になった。

俺ってちょー単純!




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