キミへ

大嫌いな社交界


もしかして……、それがあるから、帰って来たとか……?

うわ、すごくあり得そうだ。



「あははは!! お、お帰り杏菜」

「あ、お帰りぃ」

「…ただいま」



何をそんなに笑うことがあったんだよ。



「よし。これで全員揃ったな?」



……まさか、だよね?



「杏菜、学校生活はどうだ?」

「まぁ…普通だけど」

「そうかそうか! ならいいな」



え……? もしかして、それだけ…?



「それだけかよ?」



やっぱりおんなじこと思ってたか、來亞



「あぁ? んなわけないだろ」

「やっぱし」

「察しがよくて助かる。時期も時期だしな」



…だろうと思ったわ。



「杏菜、來亞。お前らには今度開催される“伊良内(イラウチ)グループ”のパーティーに参加してもらう」

「「イヤだ」」



あたしたち、姉弟はパーティーが大嫌いだ。

小さい頃は行ってたけど、あたしは5歳、來亞は4歳で社交界へは行かなくなった。




< 186 / 203 >

この作品をシェア

pagetop