キミへ


それから無事、挙式が行われその日のパーティーは終わった。

花嫁さん…すごい綺麗だったなぁ…。どこであんな人見つけて来たんだろう。



「杏菜、來亞」

「ん?」

「何?父さん」



父さんはにこりと笑って言った。



「どうだった、今日のパーティー」



母さんは父さんに寄り掛かって寝ており、余程疲れたんだろう。



「俺は楽しかったよ」

「…まあまあ、楽しかった」

「そうか」



そう言って父さんは満足そうに微笑んだ。

あたしは頬杖をついて窓の外を見た。

結婚式なら結婚式と言って欲しかった気もするけれど、でもその反面、行ってよかった気もするから結果、楽しかった。

久しぶりに拓真にも会えて話せたし。



「(…楽しかった、か)」



本当にいて楽しい空間は、雅たちと一緒にいる空間。

唯一、そこが楽しいと言える場所。



「(早く会いたいなぁ…なんて)」



柄にもなく
思ってみた。



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