キミへ
「大丈夫か?」
そう聞かれて横を見れば怜衣くんがいた。
「あ、うん」
「杏菜も足速いなぁ?」
「そうかな…?」
「前の学校でなんかやってた?」
イタチくんがよっこいしょ、といいながら座る。
「一応陸上部だったけど……」
「らめちゃめちゃ足速いね」
「ううん、ほとんど行ってなくて帰宅みたいな感じだったから…」
「種目は?」
「短距離」
「ほお…。陸部ってかっこよくね?」
龍くんがニコニコと笑いながらそう言った。
「アタシ前バスケ部だった!」
「ウチバレー」
「え、意外」
「え、どーゆう意味?」
ドッと笑いが巻き起こった。
「千嘉がバレーとか意外だわ!」
「杏ちゃんの言い分も分かる」
「千嘉お前帰宅だろーが」
「千嘉には地味な吹奏楽とか似合いそうだよ」
「お前ら人をバカにしやがって……っ」
殴りかかりそうになった千嘉ちゃんの腕を引っ張った。
「杏ちゃん?」
「ごめんね、千嘉ちゃん。悪気があったワケじゃないんだよ?」
そう言えばガバッ!と抱きついてきた。