【短】だいきらいなあなた
「じゃあ… またな」
名残惜しい感じが痛かった。
ユーゴが大きい黒いスーツケースを持って、あたしに背を向ける。
その背中は、
……希望に満ちていた。
「…… ばいばい、ユーゴ」
だいきらいで、たまらなくて
だいすきで、たまらない人。
消えてく大きな背中を、あたしはずっと見つめていた。
小さくなってしまっても、
見えなくなってしまっても、ずっとずっと。
―さようなら、あたしの初恋。
fin
