ダメ恋・スキヤキ編
残業が続き、
わたしは仕方なしに例のスーパーマーケットに通っていた。

６列のレジは夜になると２列になる。
片方は男性で、片方は例の女。
わたしはあれ以来、男性のレジを選んだ。

最初は考えすぎかとも思ったのだが、
あの女を見かけるたびに、それは確信に変わっていった。

女はわたしを見つけると
わざわざ眉間にシワを寄せ、睨む。
わたしは気づかないフリをし、女の視線を無視しつづけた。

女はときおりレジを離れわたしが食材を選んでいる様子を見に来ることもあった。
カゴに何を入れているのかが気になるようだった。

そしていつしか女の変化にきづく。
まず髪型がかわった。
次にメイキャップが変わる。
マニキュアもキレイに塗られるようになった。

思わずドキっとし、
目を見開いてしまったことがある。

それはわたしと同じ時計をしているのを見たときだった。

なぜ？
なぜなの？
なぜ、わたしなんかをうらやましがるの？

わたしはそのスーパーマーケットを避けるようになった。





< 3 / 6 >
表紙・目次

この作品をシェア

pagetop