エールミー!

***



京たちが帰った後、帰ったはずの赤音と陸は
生徒会室にやってきた



赤音は感づいていた



彼は鈍いように見えて以外と鋭い、
人の一人一人をきちんとみている奴だった

本当は「鈍い」を演じている



「なんだよ。赤音…、

俺、早く帰りたいんだけど」




陸は正直いい気分ではなかった



「なぁ、お前、京ちゃんとなんかあっただろ。

京ちゃんと咲坂があれやったときも、

お前、あんまりいい面じゃなかったし」




「…………」




図星だ




先日の京とのこと


もうあれは自分にとって
最大の心の変化だ


自分があんなことする
人間だなんて思ってなかった



自分は完全に、沙田京に恋をしていた


ただのお遊びだけど

あれだけ嬉しそうな京の顔を
咲坂に見せている光景は陸にとって、
嫉妬心、不安、イライラ…とにかくよいものではなかった



京は咲坂が好きなのか?



そんな疑問が浮き上がり、
不安でたまらない。



もしかしたら・・・咲坂も・・・


そんなことも思った


ただでさえ自分は
いろいろで京と気まずいのに



焦りと不安、
もうその他の感情まで胸のなかで騒ぐ

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