お月様の飼い主
貴方と出会う前までは、大嫌いだった行為。
自分勝手に事を進める昔の恋人達に、
嫌悪さえ抱いていた事を思い出す。
時にささやかれる愛の言葉さえ、
あたしの心を潤ませてはくれなくて。。
今思えば、あたしは愛されていたのだろうと、わかる。

そぅ、愛していなかったのはあたし。

貴方に捕らえられて、こんなに心が躍るのは、
あたしから貴方への愛が溢れてしまいそうだから。
心から溢れさせたくはない気持ちが、
躯から、素直に零れる。
心は、
躯は、
簡単に、
貴方に、貴方自身に、
反応する。
自分の反応の変化に驚き戸惑ったのは、
もう、何年も前で。
でも、未だに慣れる事はない。

貴方に慣らされている自分を知る。
溶け出したあたしを元に戻す方法なんて、
ないのだと知る。
貴方の与えてくれるものならば、
あたしは、どんなものでも、
痛みでさえも、

………悦ぶ………

あたしの中の貴方への愛で、
あたしは簡単に溶けてゆく・・
貴方から、あたしへの愛で、
ならいいのに。
実体のない気持ちが、
目に見えない気持ちが、
分かればいいのに。
見えればいいのに。

確信へと、変わればいいのに。

貴方からあたしへの愛で、もぅ、１人ではいられない程に溶けてしまえばいいのに。

あたしから貴方への愛で、もぅ、１人ではいられない程に溶けてしまえばいいのに。

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