結婚の条件《オオカミ秘書の恋愛指南》
「俺はずっと自分の生き方を変えたいと思ってた。でもなかなか今の生活から抜け出せなくて…」



「・・・」


洋貴さんは私の右手をそっと握って来た。


「あなたが私の理想の男性になると言うなら…私は何をすればいいの?」



「…お前は中尊寺の家を捨ててくれ…」


「・・・」


「そうしなければ…俺はお前を守ってやれない…。叔父様に勝る強い社会的地位や権力があれば…お前に家を捨てろとは言わない。無力な俺を許してくれ」



「・・・」


「今の暮らしは出来ないかもしれないけど、俺はお前には苦労はさせない。杏里の理想には程遠い俺だけど…お前を想う心は誰にも負けないつもりだ」



洋貴さんは情熱的な瞳で、懸命に私に愛を紡いだ。



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